先日、いきなり弁護士を名乗る男性から連絡がきた。
私はこれまでの人生、特に賞罰もなく世間からは地味で目立たないような生き方をしてきたつもりだ。
だから当然のことながら弁護士先生などには何の縁もゆかりもなかった。
それが、昨日、帰宅して郵便受けに弁護士が差出人の1通の手紙が届いていたのである。
内容を確認してみるとどうやらこの私への遺産相続があるとのこと。
私は両親がすでに他界しており兄弟もなく、独身のため生涯孤独の身である。
親戚付き合いも全くなかった。
だからそのような遺産相続などということは全く無縁のことだと思っていた。
弁護士の手紙によると、私の父の姉、つまり叔母が先日亡くなったらしい。
そして、彼女にはやはり身内がなく、唯一の血縁者が私だということである。
まさに青天の霹靂というやつだ。
叔母はかなりの財産家であった様で、その遺産相続で受け継ぐ資産は税金など諸々を差し引いても都内に高級マンション数部屋を余裕で購入できる額だ。
私はこれまで薄給を節約しながら慎ましく暮らしていた。
だから今回の遺産相続の件では正直言って頭の中が相当舞い上がっている。
最初に考えたのは豪邸を購入して仕事も辞めるということだ。
今までに持ったこともないようなお金を手に入れるとなると、人の妄想というものは色々と膨らむものだと自分でも感心した。
それでも時間がたって冷静に考えられるようになると、何故か、どんどん保守的な考えが頭の中を支配してきた。
本能のままに欲望にまみれた生活をすると、きっと何かの不幸が訪れるはずだと思うようになった。
何かの雑誌でお金持ちの多くはお金があっても幸せじゃないと読んだ。
ここは将来を見越して、不動産投資をして利益を出すことにしようと思った。
以前、知り合いから不動産投資のアドバイスをしてくれる会社のことを聞いたことがある。
一度プロのアドバイスを受けてみようと思う。