No.39 マンションやビルへの投資って、そんなに儲かる?

「最近、こういうチラシが多いわねぇ」妻が見ていたのは、不動産のチラシだった。東京オリンピックも決まり、日銀も緩和継続という姿勢を見せていることから、都心の一部ではミニバブルのような状況になっているらしい。もっとも先頃発表された公示価格では地価は相変わらず下落を続けていたし、商業地の一部以外でも同様だった。この商業地の値上がりにも理由があって、日本を訪れる外国人旅行者の恩恵に与るところが大きそうだった。インバウンド市場の過熱が、不動産市場にも飛び火している格好だ。

もっともうちには余りある資産などないから、チラシに謳われている不動産投資など無縁だったけれど。ただ気持ちは良く分かる。銀行に預金しても利息などないに等しいものだから、ある程度資金に余裕があると投資して収入を増やしたいと考えるのだ。オリンピックまでは大丈夫、心のどこかにそんな期待もあるのかもしれない。もっともインバウンドの方は想定外で、宿泊施設の不足やそれを見透かした民泊の活況を招いていたから世の中は分からないものだ。

「マンションやビルへの投資って、そんなに儲かるものなの?表面利率10%って、1割ってことよね?」そんなことよりも朝飯を早くしてくれと思いながら、妻が見ていたチラシに目を走らせる。場所が良いところ、人が集まるところなら悪くないかもしれない。でもマンションにしろビジネスビルにしろ、空室リスクがつきまとう。表面利率とは満室での賃料収入で計算されるから、これを鵜呑みには出来ないのだ。

それにこういったビルでも改修やメンテナンスをしなければならない。膨大な資金が必要になるし、設備のリフォームも行わなければならない。そうしたことを考えると、自分はとても手を出す気にはなれなかった。「大きく儲けることも出来ない代わりに、損もしないタイプだな」自嘲気味にそう思える。「表面利率って何だい?」後で調べてみる、妻の返事が返ってくる。妻はもう少し掘り下げてみるだろう。その時妻が敢えて勧めるものがあったなら、自分の投資時かもしれない、そう思った。

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